理学療法士の独立開業には賛成できません②


昨日の記事「理学療法士の開業には賛成できません」が、思いもよらず大きな反響で少々驚いております。

昨日の記事では、「リスク」の視点から書きました。
将来起こり得る「リスク」を神のお告げや占いなどのレベルに委ねてはいけない。

理学療法士の開業は非常に不確実なのです。

実はもう一点理学療法士の開業に賛成できない理由があります。

それは理学療法士は、半公僕だという立場からです。

日本の国民皆保険は、本当に恵まれています。
世界に目を向けると金が払えるのかどうか?これが最重要で、意識不明で運ばれて来ても誰がその人の医療費を払うのかが明確に約束されなければ医療が始まりません。
そのせいでたくさんの助かるべき命が失われています。

アメリカでさえオバマ大統領になり、国民皆保険制度が出来ましたが、アメリカの医療保険は社会保険制度における国民皆保険ではありません。
アメリカの医療保険は、保険会社の商品です。

ですから保険料や保険内容より保証対象が全然違うのです。
極端な話、患者が骨を折って病院に行き、医者の関心はその人の保険の保証内容です。
骨折が保証外なら医師は治療しません。
こういうことが海外では起こっています。

日本の国民皆保険は本当に素晴らしいのです。
すべての国民に同じレベルの医療が、日本中どこにいてても受けることが出来る、これが日本の国民皆保険です。

理学療法士は、この保険制度の中で活躍する職業として始まりました。

国民の皆さんが納めた保険料から、給料を頂いて維持できる職業です。

開業するのは勝手ですが、理学療法士としてではなく、例えばピラティスのトレーナーになってピラティストレーナーとして独立するとかなら理解できます。

理学療法を実費でやるとその料金設定によっては、そのサービスを受けることが出来ない国民が生まれます。

あくまで理学療法士の行うサービスは、国民に平等に行き渡ること、これが理学療法士の行う理学療法の本質です。

若い頃私も自分の力を試したいと、技術を求めた時期がありました。
しかし理学療法士として実費で独立するのは、私の考えに合わないと思い、そのためカイロプラクターとなりました。
そしてカイロプラクターとして独立開業しようと考えました。実際カイロプラクターとして開業もしました。

自分では治療技術もリスク管理も診断能力も、そのへんの理学療法士には負けない自信はあります。

しかし二児の父親となり「リスク」を考え、廃業し、現在保険医療機関で理学療法士として勤務しています。 

将来に渡る「不確実性」や「リスク」そして理学療法士の国民に対する役割という2点、つまり【家族に対する責任】と【国民に対する責任】から、私は理学療法士の開業には賛成できないのです。

0コメント

  • 1000 / 1000