崩壊家庭で育った私…家庭が暖かかったころの遠い記憶が急に蘇り気分が悪くなった
2年か3年前…近所のカメラ屋のショーケースに小さな金色のカメラが展示されてあった。
そのカメラを見た途端私は、妙にノスタルジックな気分になり気持ち悪くなった。
しばらく何だろう?この気持ちの悪さは…と思っていたのだが、しばらくすると遠い記憶がゆっくりと蘇ってきた。
崩壊家庭であった我が家にも、家族の温かさを感じる物があった。
RICOHオートハーフというカメラだ。
まだ私が年端もいかない子どもの時分、家でゴロゴロとし、何気なく開けた引き出しの中に見つけたのが、この小さなカメラだった。
タバコの箱くらいのサイズで、小さなレンズの周囲を縦に格子状に複眼レンズが配置され、さらに周囲は鏡面仕上げされているところが、近未来的なデザインでとても印象的だった。
私はそのカメラを見ていると何だか気分が良く、しょっちゅうそのカメラを引き出しから出しては眺めていた。
その小さなカメラと再会した近所のカメラ屋のショーケースの前で、このカメラをいつか手に入れようと思った。
何しろ家庭が崩壊する前の家族を記録していたカメラだと思うと、何だか私にとって温かい家庭の象徴のように思えてならなかったからである。
フィルムの巻き上げはゼンマイ、露出はセレン光電池により自動(レンズ周囲の複眼レンズはセレンに集光するためのものだった)。シャッタースピードは1/125、セルフタイマー付き。とにかくシャッターを押すだけで簡単に写真が撮れる。
何と言ってもハーフカメラなので、24枚撮りのフィルムだと倍の48枚も撮れてしまうという優れもの。
今の基準から言えば、全てが「それがどうした」と言われてしまいそうだが、今となってはスペックなどどうでも良い。
今でもこの愛らしいデザインでなかなか人気があるらしく、このままデジタルカメラに改造して販売などもされているようである。
私は当時の箱入り新品をゲットすることに成功した。
このカメラ発売は1967年。なんと私の生まれる1年前のカメラ…
このカメラを家族を守る象徴として大事にしていきたいと思う。
発売年月
1967年9月
フィルムシステム 35mmパトローネ入りフィルム(135)
画面サイズ 24×17mm
レンズ リコー 25mm F2.8 3群4枚構成(設計理研光学、製造富岡光学)
フォーカス 2.5mに固定焦点
シャッター セイコーシャ BS 11-5 1/125(AE時) 1/30(フラッシュ時)
露出計
セレンメーター、針押さえ式AE
特徴 フィルム装填、巻き上げで自動的に1コマ目まで送られる。セルフタイマーつき。
大きさ 巾 89mm 高さ67mm 奥行き 34.5mm
質量 350g
価格 14,800円 ケース・ストラップつき 黒仕上げは 15,500円
見分けかた カメラ上部に SE の文字
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