僕がその優しさに恩義を感じている同級生B君。


大学の時私は成績が良かった。
 
出来れば主席で卒業したいと思っていた。
 
しかし、3年生の終わりに考えは変わった。
 
考えが変わるきっかけは、二人の同級生が関係している。
 
3年生の終わりに父の病気のために、私は休学をした。
 
3年間同じクラスの者たちと一緒に過ごしてきて、彼らと別れるのは寂しかった。
 
しかし治療費や病院への送り迎えがあるので止むを得ない。
 
私は仕事で得たいくらかの収入を仕送りした。
 
そして嫁を帰らせ、父の送り迎えをしてもらった。
 
A君は成績優秀でクラスのリーダー的存在。
 
やはり主席を狙って勉強に励んでいた。(と思う)
 
一方B君は、成績は決して良くはない。いつも低空飛行。
 
それも仕方ない。
 
彼は学校が終わって、そのまま宅配の仕分けのバイトを朝までやっていたからだ。
 
週に4日。
 
朝まで働きそのまま家に帰らず、授業が始まるまでの約1時間学校近くの公園のベンチで眠る程度。
 
彼が昼食を食べてるところを私は見たことがない。
 
ときどき学校で裸になり身体をタオルで拭いていた。
 
クラスで一番お金に困っていたと思う。
 
私が、休学をすると知って、A君はこう言いました。
 
まさかこの競争から「けんじさん」が脱落するとは・・・
 
B君はまったく違いました。
 
外来から戻ってきた私は、机の上に乱雑においた私の服の下に封筒があるのに気づきました。
 
B君からでした。
 
封筒には3000円とメモが入っていました。
 
帰りの電車で弁当でも食べてください。
 
すごく嬉しかったです。

 
その時に、主席なんてどうでも良くなりました。
 
治療家として必要なものは、主席じゃないと思いました。
 
Bくんありがとう。
 
でも・・・あの3000円は使えなかったよ。

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